Love is resistance’ in collaboration with Mayudepth

Video: Love is resistance 6min, 2022
Audio: Angels from Hell feat. Umi Ishihara 6min, 2022

Listen full EP on Bandcamp

Written & Produced by Mayudepth
Poetry by Umi Ishihara
Published by 四季協会 SHIKI KYOKAI
Music Video and Photography by Umi Ishihara

 

地獄出身の天使

外の朝靄、ガラス張りの熱狂の室内から視線を向ける、誰かのコーヒー豆パックの中に手を突っ込み真実の粒を探す、奇跡をむかえる準備、朝が来るのが悲しくて泣きそうになる代わりにアタシは瞬間移動する、魔法ならすぐ手に入れてみせるよ、白またはレインボーを探せ、スピードならどこまでもあげ、鼓動をあげ、ずうっと音に耳をすませ、ずうっと音に耳をすませ、遠いところに行くためにアタシはここで陶酔の足踏みをする、暗闇のなかで太陽を探す、キスの代わりに音の輪郭と手を取り合って踊る、破壊してからが光、帰るなんていう概念を捨て、永遠に踊れる人とだけ釣り合うこの世界の尖りきった崖っぷち、快楽に弱いんだけどどうすればいいの、答えは耳をすませた人だけが知る、もっと奇跡に近づきたくて、身体を揺らせば傷は治って、ペットボトルの水、その底に揺らぐ透明の羽を夢みて水分補給、地獄出身の天使が完成、そしたら雪までひとっ飛びで今度は白の世界で調整、空港、鏡の部屋に片足だけ残してまた音の鳴るほうへ吸い寄せられ、ねえホタル見せてよ、そして愛を殺せうねりを殺せ、破壊せよ、破壊せよと頭のなか湧き上がる声すらも殺せ、フロアに残った人とだけ分かち合う四重奏、足踏みがリズムに、リズムが映画に、映画が身体に、ああまるで染み渡る目薬のような、この瞬きがもったいない、身体から出るすべての色や粉や酸素や液体をもう一度手にしたい、人生やりなおしたい、今夜を明日も明後日も明々後日もやりなおしたい、同じ人の身体を幾度も触りたい、アタシたちの周りを飛ぶ鳩とスーザン、そしてどこまでも遠くへ行こう、音に焦らされ、思い出したかのように外の朝霧に目を向け、この世界のツンと張り詰めた美しさにいっそう胸の鼓動が速まり、外の世界の風の音や囁き声やスピーカーの音がすべて一体となってアタシの身体に流れ込む、もし音が形をもっていたのならアタシはそれをペンダントにして常に抱えて踊ろう、塔を無意識に探す、音の見える世界で目をぎゅっとつむり、両手をゆっくりとあげて回転する、地面一面の砂に足を取られるな、もっと耳をすませ、もっと耳をすませ、もっと耳をすませ、もっと耳をすませ、もっと耳をすませ